3月19,20日にアルゼンチンで開かれるG20で、仮想通貨の規制案が議題に上ることが判明しています。
G20とは:G20サミット(「金融・世界経済に関する首脳会合」)とは,G7(仏,米,英,独,日,伊,加,欧州連合(EU))に加え,亜,豪,ブラジル,中,印,インドネシア,メキシコ,韓,露,サウジアラビア,南アフリカ,トルコ(アルファベット順)の首脳が参加して毎年開催される国際会議です。G20サミットにはメンバー国以外にも,招待国や国際機関などが参加しています。 引用:外務省HP
まず、フランスは「ビットコインのリスクの分析や規制についてドイツとともにG20参加国に提案したい」発言し、ドイツも「我々は市民に対してリスクを説明し、規制によってリスクを低減させる責任を負っている」発言しています。
規制という響きが仮想通貨にとってマイナスのイメージを抱かせますが、実際どのような規制案が議題に上がり、そしてどのような影響が予想されるか考えてみました。
議題①風説の流布について
現在、日本では金融商品取引法に風説の流布等を禁止する記述があります。
(風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止)
第百五十八条 何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等(有価証券若しくはオプション又はデリバティブ取引に係る金融商品(有価証券を除く。)若しくは金融指標をいう。第百六十八条第一項、第百七十三条第一項及び第百九十七条第二項において同じ。)の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。
引用:電子政府の総合窓口
ただ、仮想通貨は有価証券ではないため、この法律は適用されないように思えます。
これがG20の規制強化次第では、仮想通貨のための法律が新たに作られる可能性があります。
☝この規制については、利用者にとって前向きな規制と言えるでしょう。
議題②空売りの禁止について
空売りとは、ショートとも言いますが、取引所にお金を担保として預け、仮想通貨を借りて仮想通貨を売り、安くなったところで買って借りてた仮想通貨を返す。つまり信用取引です。
高いうちに売っておいて、安くなったら買う。
この差額で利益を得る手法なので、これから下がると分かっていればこの手法がばっちりハマるわけですね。レバレッジ10倍とかだと、少ない資金で大きく利益を上げることも可能です。
しかし、これはあくまで仮想通貨が予想通りの値動きをした場合の話で、逆に言えば、先に売っておいたものが、その後どんどん値上がりしたら損をします。そしてそれはどこまで上がるかは、誰にもわかりません。
☝ギャンブル性が強いことから利用者のリスクを考えての規制と言えるでしょう。
議題③交換業者登録制の効果
これは、日本が導入しているもので、各国に対し実際にどのような効果が得られたのかを説明することになると思います。
プラスの効果の説明が説得力のあるものであれば、会議の主導権を握り、日本の取り組みを各国が参考にしていくことになるでしょう。
しかし、効果がいまいちであった場合、発言力は低いものとなりそうです。
日本の取引所では、現在様々な問題が起きているのは周知の事実であり、効果としてはマイナスではないにしろ、そこまでのプラス効果を説明するのは難しいかもしれません。
☝取引所に対しての規制がどのようなものになるかを探るものであると思います。登録制の効果がいまいちであれば、より厳しい規制が必要と判断されるかもしれませんが、利用者の安全を考えれば必要な規制と言えるでしょう。
議題④犯罪資金の調達やマネーロンダリングなどへの悪用
これが各国が考える仮想通貨の一番のリスクだと思います。仮想通貨についてはブロックチェーン技術により安全性が強く語られていましたが、コインチェックのNEM流出については、NEMの所在は分かっていても、今のところまだ返還されていませんし、これが犯罪資金となる可能性もあります。
このような事態に備え法整備を進めて、流出した仮想通貨の凍結等このような事態等に対応できるようにする必要があります。
まとめ
議題から仮想通貨への影響を考えると、今の時点では様々な法整備が追いついておらず、利用者へのリスクも大きいことから、それらへの対応検討のように思えます。
そしてこれは仮想通貨を認めつつ、その利用方法と、あり方の模索でもあるとも思います。
麻生太郎財務・金融相はかつて記者会見で「なんでもかんでも規制すればいいというものではない。バランスをとりながらやっていかなければいけない」と発言しています。
複数のコンピュータで取引を監視するブロックチェーン技術で管理される仮想通貨は、海外送金にかかる時間が大幅に短縮できるなど、本来すばらしい発明です。
世界的な規制の方向性が固まれば、仮想通貨市場の整備が進み、ますます発展していくでしょう。
以上お読みいただきありがとうございました。